経常的経費について都道府県等から補助金を受ける学校法人は、「私立学校振興助成法」第14条第3項の規定により、
貸借対照表、収支計算書等の財務計算に関する書類を作成し、公認会計士または監査法人の監査を受けることが義務付けられています。
●予備調査
会計監査に協力する体制にあるか、会計監査に対応できる内部統制が構築されているか、これまでの計算書類が会計基準に
準拠して作成されているかどうかを調査します。
●監査計画
法人の経営状況・管理状況を把握し、最終的な監査の目的である開示書類に誤りが生じる可能性が高い項目(リスク)
または低い項目を抽出します。そのリスクに対して監査工数を割り当て、効率的かつ効果的な監査を実施する監査計画を
立てます。
●期中監査
作成した監査計画に基づき、会計処理が適切に実施されているか、また会計処理に至るまでの業務プロセス(内部統制)が
適切に整備・運用されているかを確認します。
●期末監査
策定した監査計画を基に各勘定残高の監査手続を実施します。監査手続には、実査・立会・確認を始めとして、証憑突合や
再計算などをおこないます。
また、計算書類の表示の適切性も確認します。さらには経営者ともミーティングをおこない、監査に対する誠実性なども
確認します。
●監査意見の形成と監査報告
期中監査・期末監査でおこなった監査手続による監査証拠をもとに、開示書類が適正に作成されているかを監査責任者が
判断します。そして、判断の結果について、監査にあたった公認会計士以外の公認会計士による審査が行われ、その結果、
問題ないと判断されれば、「監査報告書」を作成し、対象法人の取締役または監査役、あるいは理事長または監事などへ
提出します。
●監査人の独立性
監査人の独立性とは、監査法人や公認会計士が被監査会社や関連する第三者との利益相反を排除し、公正で客観的な監査を遂行する能力を指します。
具体的には、監査人が個人的、経済的、業務的な関係から影響を受けることなく、企業の財務情報について適切に判断する態度を持つことです。
この独立性の確保が監査制度全体の信頼性を支える重要な要素となっています。
そのため、以下のような行為は禁止となっています。
①被監査会社の会計業務や税務代理を同時におこなうこと
②被監査会社からの金品の授受や金銭の貸借など
③適正意見を受領するための監査報酬の上乗せ
など。
●期待のギャップ
期待のギャップとは、社会の監査に対する期待と、監査人が実際に行う監査の内容にギャップがあることをいいます。
社会は、監査の目的は不正の摘発だと思っているところがあるが、公認会計士監査の目的は「保証」なのです。何を保証するのかというと、
企業が作成する財務諸表が会計の基準に準拠して正しく表示され、なおかつ重要な虚偽の記載がされていないということについてです。
したがって、然るべき監査手続がとれない場合や不正があると考えられる場合には、保証はできませんという意味の意見を表明します。
たとえば、「公認会計士が見ているから倒産はしない」という誤解もあります。財務諸表が正しく公認会計士が適正意見を出していても、経営業績が芳しくなければ、
倒産することもありえます。
また、財務諸表監査においても、重要な虚偽の表示がなされていないという保証をするのであって、虚偽表示が全くないということではありません。
会計監査は、1年間の全ての取引を監査しているわけではありませんので、財務諸表や計算書類が1円単位まで合っているわけではないということです。
神奈川県、東京都、静岡県の一部(東部地域) 等
法人の規模や取引の数によって異なります。詳しくはご相談ください。